スカイライン・GT-R(BNR32)が減っている。理由と買取事情

はじめに

GTRテールライト

日産スカイラインGT-R

80-90'sジャパニーズスポーツカーの代表格。日産・スカイライン・GT-R。

2017年現在メッキリ見かけ無くなってしまいました。
巷で見かけたら目を引くぐらいなレベルです。
10年程前でしたら、ちらほら見かけていました。

ここまでになったのには主に2つ理由があり、

1つは単純に
ボロボロになっていく。
時代の流れに逆らえないので、経年劣化でご老体。
こんなどうしようもない車両が年々増え続けています。
20年以上前に生産された車ですもん…しょうがないですよ…。

もう1つは
門外不出が破られた。
です。

これらをもう少し掘り下げていきたいと思います。

BNR32 GT-Rについて

BNR32 GT-R BNR32 GT-R

プリンス自動車が「ツーリングカーレースで勝つ事」だけを目的に作られたのがはじまりで、先代のプリンス・スカイラインから大幅な改良を施し車名を改め、「スカイライン GT-R」と名づけられました。

そこから2代続き、オイルショックや規制等の理由で生産中止。

それから16年の間が空き、8代目スカイラインの中に「GT-R」が復活し、第2世代GT-Rの幕開けとなりました。

初代のコンセプトをそのまま受け継ぎ、モータースポーツでの活躍は他車を寄せ付けないほどでした。
全日本ツーリングカー選手権では、初参戦したレースでいきなり優勝。

そのシーズンだけでリタイヤ以外ほぼ上位にいて、デタラメな速さを見せつけました。

また、全日本ツーリングカー選手権史上最強と言われたフォード・シエラを叩きのめし、2年後の選手権が終了する年に気づいたら最上級クラスはGT-Rだけのレースになってしまっていました。

また海外のレースでも猛威を振るい、色々なステージで勝利を挙げています。

販売当初、日本経済が上向きの時代背景があり、その年の日本車は「速さ」に対する技術競争が各メーカー同士で盛んになっていました。

トヨタ・スープラ、マツダ・RX-7、ホンダ・NSXなど現在でも人気なスポーツカーがしのぎを削って争っていてGT-Rもその中で進化を遂げて行きました。

また、チューニングカー業界も盛んになり始めた年でもあり、各ショップのチューニングGT-R競争になり、チューニング技術の発展の火付け役にもなっています。

時の流れには逆らえない

青いGTR

生産期間は1989年から1994年まで。
もう十分旧車ですね。

一番新しくても23年前。
なのにフツーに走ってる方が貴重な気もしてきます。

乗る人がみんながみんな大切にしていたとしても、走行距離は伸びる一方、各部劣化して行き、しまいには壊れてしまう。

そこから修理にお金がかかり、維持が難しくなる。

また、修理できない、もう二度と動かない状態になりスクラップになる。

こうした数々の弊害が生まれてきます。

うん、そりゃ台数も減りますよ…。

でも、それだけじゃなかったりします。

前提でも少しお話したチューニングのお話。

チューニングが盛んになったおかげでGT-Rへの関心も集まり、改造を施す車両が増えて、元々の耐久性よりも落ちていて壊れやすくなっている状態で過激な運転をする。

必然的に事故率も上がる。

はい、これです。このせいで台数が急速的に減っています。

まあ、これに関してはGT-Rに限った話ではありません。80-90'sジャパニーズスポーツカーの特色と言いますか、宿命なのです。

BNR32の流出はもう止められない…

GTRスピードメーター

もう一つの要因それは「輸出」です。

元々輸出仕様は存在しない門外不出車でした。

そのため、個人輸入などでちょこちょこは流れていたものの、仕様などは公式に明かされているわけでもなく、インターネットの存在も無かった時代知っている人はごく一部でした。

また、アメリカの輸入規制ルールーがあり、簡単に言うと

「輸出仕様が無い車種に関しては、生産されて25年経過してからでないと輸入できない」

というものです。

そのため海外のカーマニアも手に入れられなかったのです。

そして、2014年BNR32生産から25年経過してこぞってアメリカのバイヤーが訪れ、買い占めに掛かりました。

その影響は中古販売価格が1年前から約2倍に。
また、限定車両になると5倍以上になるとか…。

同時に希少性も上がり、買取価格もうなぎ登りです。

それをきっかけにアメリカに限らず、急速に輸出ルート行きとなり2017年現在も絶賛流出中。

買取情報として言えることは一つだけ……

「売るなら今だ!」です。

このブームがいつまで続くかはわかりませんが、今、絶頂期です。

信じられないぐらい上がっていってます。
しかも過走行でどんなにボロボロでもです。

ポイントとしては買取業者が輸出に繋がっているかいないかで変わってきます。

海外輸出ルートを確立している買取業者なら、高価買取をしてもらえます。

なんでそんなに人気なの?

GTRの1シーン

人気の秘密それは簡単「日本車だから」で終わってしまうとずいぶん語弊があるのですが、 単純に速くて壊れない+ネームバリューといったところだと思います。

ですが、それ以上に爆発的な影響を与えたのが 「映画と漫画」です。

日本の有名な車漫画やアニメは海外でも人気で、翻訳されてDVDなども販売されています。

また、アメリカのストリートでカッコイイ改造車が駆け抜ける映画が放映され、本国はもちろん、日本にも影響を与えました。

そして、映画や漫画に出てくる改造車はほぼ日本車。
しかも80-90'sジャパニーズスポーツカーです。

前提でも述べたトヨタ・スープラ、マツダ・RX-7、ホンダ・NSXなどまさにそれです。

でも、この日本車たちは海外でも販売されている為、それほど爆発的な減少や価格高騰は起こしていません。

ただこの中に永い間、GT-Rという名前だけが無かったのです。
存在は認知されていても手に入れる手立てがなかったんです。

そりゃ国産車最強と謳われた車だけが25年間お預け喰らってたんですもん。

反動だってすごいはずです。

その後のモデル、BCNR33やBNR34は?

GTR WANTED

今の流れが続く限りは同様にこの現象は起こると思います。
BCNR33は最初だけ爆発となって終わるかもしれません。

ですが、怖いのがBNR34です。

なぜなら「超有名映画の主人公の愛車として登場したから」です。

しかも本当にかっこよくカスタムされた姿で。

映画云々を抜いても人気が出ること間違いなしです。

2017年現在、日本国内の中古車市場においてもBNR34は高いもので1000万円近くの価格になっています。

では、ここに輸出事情が絡むとどうなるか。
「フェラーリ並みの値段になる」です。

大げさかもしれませんが、少なくとも解禁されてすぐはなると思います。

ただでさえ価格高騰している現状、更に希少性も増している中、いったいどこまで高騰していくのか。

一GT-Rファンとしては目が離せません。

今回長文を書くにあたってスポーツカーに大変詳しい熊本の川崎興業(廃車マックス熊本)さんに意見を聞きながら書かせて頂きました。

まとめ

GTR廃車買取

今回は著者の大好きなBNR32 GT-Rについて書かせていただきました。

2017年現在、廃車買取業界は海外シェアなしでは成り立ちません。

一部車種ではありますがトヨタ車の買取はまず輸出となるぐらいです。

その中で、少し異質な事情を持つスカイラインGT-R。

日本国内からなくなるのはとても悲しいですが、改めて日本車の凄さが分かります。

世界規模のシェアをかき回しちゃうんですから。

R35デビュー後、関心も集まり世界中に知れ渡り切った今。そしてこの先、BCNR33、BNR34がどうなるのか。すごく気になります。

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